仕事中、AIへの指示は結構ざっくりしています。業者向けのメールなら、6割くらいの文章で渡して整えてもらう。会社名や宛名、いつもの業務連絡の形にしてくれるので、これはよく使います。
その使い方で効いてくるのが、コンテキストです。難しい言葉ですが、要するに「いま何の仕事をしていて、何を求めているか」という前提のこと。そこが伝わっていると、AIも私の求める回答を出しやすくなります。
毎回、長い指示文を作っていたら仕事中に頼みにくい。先に前提を伝えておいて、作業中は短く頼む。私がAIを普段使いするうえで、ここは外せません。
「これ整えて」の前に、相手と用件が伝わっているか
たとえば、同じ「メールを整えて」でも、初めて連絡する相手と、普段からやり取りしている業者では文面が変わります。見積もりを受け取ったお礼なのか、発注の連絡なのかでも違う。
こちらの頭の中には、その前提があります。AIにも渡せていれば、毎回挨拶から細かく考える手間を減らせます。
私は、業者相手のメールは形式が決まっているので、ざっくり書いても頼みやすいと感じています。用件は自分で決めておき、文章として整えるところを任せる。完成した文章を渡して添削してもらうところまで、自分で済ませなくてもいいんです。
ChatGPTで試すなら、最初は同じ仕事の前提と用件を、同じチャットに置くところから始められます。次は、取引先への連絡を想定した架空の入力例です。
相手はいつもやり取りしている取引先。
見積もりを受け取り、これから社内で確認するところ。
今回はお礼と、納期の目安を聞きたい。
普段の業務連絡くらいの丁寧さで、短く書いて。
この背景を伝えたうえで用件のメモを渡せば、「これをメールに整えて」と頼む対象がはっきりします。書いていない納期まで決めてもらう必要はありません。分からないから聞く、という用件まで伝わっています。
この前提メモを実際の取引先連絡へ使う例は、6割のメモから業者メールへ整える手順で確認できます。
OpenAIの文章作成ガイドでも、相手や目的、下書きなどの素材、求める形式を伝え、出力を見ながら具体的に直す進め方が紹介されています。
先に渡す前提は、短いメモでいい
仕事の説明を一から書くのも面倒なら、まず「誰に」「何のために」「どこまで決まっているか」を一度メモにしてみてください。
たとえば、繰り返す仕事用の前提メモは、こんな形にできます。これは記事用のひな型なので、自分の仕事に必要な行だけ使えば十分です。
この仕事の目的:
相手・読み手:
いま決まっていること:
まだ確認したいこと:
いつもの文体・書類の形式:
最初から全部を埋める試験にしなくていい。「いつもの取引先向け。短めのメールで」まで共有しているなら、次は今回の用件を足す。書類なら、使っている見本を渡して「この形にして」と頼む方法もあります。
ただ、「いつもの」が通じるのは、その形をAIに渡しているときです。新しいチャットへ移った場合や、返ってきた内容がずれた場合は、使ってほしい前提をもう一度添える。会話が長くなって条件が変わったら、「今回はここが変わった」と伝えます。
たとえば、上の例で社内確認が終わったなら、「確認待ち」から「回答できる状態」へ変わっています。文章をもっと丁寧にする前に、この一行を直したほうが、頼みたい仕事に近づきます。
会社の情報は、業務で利用を認められたAIと入力範囲で扱ってください。前提の説明には、実名を出さず「継続取引の業者」「社内確認前」と置き換えられる部分もあります。
チャットを見直すと、自動化する仕事も探せる
私はChatGPTに、チャット内を見直して「自動化できることはないか」と聞くこともあります。そこで候補を出してもらい、自動化を進めています。
何を自動化するかまで自分で考えてから、AIに作業を頼む必要はありません。普段どんな相談や作業をしているかが材料になります。
たとえば、相談の履歴があるチャットなら、こう頼めます。以下も使い方を示す指示例です。
このチャットで繰り返している作業を見直して。
自動化できそうなものを、手間が減りそうな順に3つ出して。
まず一つ試すなら何か、必要な準備も教えて。
この頼み方なら、「世の中にある自動化の例」より、自分が実際に繰り返している作業へ話を寄せられます。コピーしている、同じ形式へ整えている、毎回同じ項目を確認している。そうした作業を探す入口になります。
提案を見たら、最初の一つを選ぶ。実行する段階では、対象のファイルや使う道具を決めて進めます。「自動化できそう」という回答だけで、その作業が自動で動き始めるわけではありません。
音声の振り返りや、部下・上司とのやり取りにも使う
私がAIに頼むのは、文章を作ることだけではありません。音声データを定期的に見直して振り返ったり、部下への自分の指示がよかったのかを分析させたりしています。上司から受けた指示も見直します。
ここでも、何のためのやり取りだったかという前提が効きます。言葉だけを抜き出すより、何をしてほしかったのか、どこで話が止まったのかを一緒に渡したほうが、仕事に使える検討を頼みやすい。
部下への指示を見直す場面なら、こんな聞き方ができます。
この指示で、相手に何をしてほしかったかは上に書いた通り。
私の伝え方で抜けていることはないか見て。
次に伝え直すなら、短くどう言えばいい?
目的、期限、どこまで仕上げればよいか。そうした抜けを見ると、自分の指示を直す材料になります。上司からの指示を整理する場合なら、「自分が着手することと、先に確認することに分けて」と頼む形に変えられます。
AIの分析は、自分以外の見方を得るために使う。相手の気持ちや、自分の指示が最適だったかを確定する答えにはしません。言われてみれば確かに抜けていたのか、それとも現場の事情が伝わっていないのか。そこは、やり取りを知っている自分が見ます。
書類は「作って」で終わらず、「元の条件と合っているか」も頼む
書類の作成とチェックにもAIを使っています。たたき台を作ってもらう用途に加えて、作ったものを見直す用途でも頼めます。
たとえば、提出先と必要な項目を先に伝えてある書類なら、チェックの依頼はこう短くできます。
この書類を、先に渡した元資料と提出条件に照らして見て。
抜けている項目と、食い違うところを挙げて。
直す場所が分かるように教えて。
「チェックして」だけだと、誤字を見てほしいのか、元資料と数字を照合してほしいのかが曖昧です。どの基準で見るかが共有されていれば、長い依頼文を毎回書かずに頼めます。
私が残すのは、最後の判断です。AIが整えた文章でも、送るのは私。分からないことは、そのまま送りません。短く頼めることと、内容を自分で判断することは、一緒にできます。
不動産の書類でこの前提共有を使っている例が、重要事項説明書の作成です。物件資料を先に渡し、入力欄のスクショから回答を得る流れは、ChatGPTで重説の資料探しと入力を進める手順にまとめています。
まず、明日も頼みそうな仕事の前提を一つ残す
始めるなら、いつもの取引先メールか、繰り返し作る社内書類を一つ選ぶのがよいです。上の前提メモへ相手と目的、いま決まっている条件を書いて、今回の作業を短く頼んでみる。
返ってきたものが大げさなら「普段の業務連絡くらいに」。話がずれたら、抜けていた前提を一行足す。その修正を次の依頼にも使えれば、毎回説明し直す手間を減らせます。
続きの仕事を別のチャットや日にも引き継ぎたくなったら、AIへ渡す現在地をファイルに残す方法へ進めます。まずは一つの仕事で、何を共有すると頼みやすいかをつかんでからで十分です。
メール、音声の振り返り、自動化のどこへ道具を足すか迷ったら、実際に使っている営業AIツールの組み合わせに用途ごとの選び方をまとめています。いま手間になっている仕事に合うところから選んでください。

