仕事中のメモは、かなり雑です。その場では自分の頭に前提があるので、単語だけでも仕事は進みます。問題は翌日です。別のチャットや別のAIへ渡した瞬間に、何のためのメモだったのかが抜けます。
私はObsidianを仕事の記憶として使い、Claude、ChatGPT、Codexにも仕事を頼んでいます。前提が分かっていると、AIも私の求める回答を出しやすい。ただ、前提を毎回きれいに書くのも面倒です。
そこで使えるのが、ObsidianのTemplaterです。結論から言うと、定型文を入れるだけなら標準のTemplatesで十分です。題名を聞く、種類を選ぶ、日付を付ける、保存先をそろえるところまで動かしたいなら、Templaterを使う意味があります。
今回紹介するのは、動画の機能を並べた要約ではありません。自分の仕事へ入れるなら何を固定するかを考え、Claudeへ渡せる仕事メモの型にしました。AIに判断を任せるためではなく、判断に必要な前提を落とさないためのテンプレートです。
標準TemplatesとTemplaterは、どこが違うのか
Obsidian標準のTemplatesは、あらかじめ作った文章をノートへ挿入する機能です。公式ヘルプでは、題名、日付、時刻などの変数も使えます。会議メモの見出しを毎回同じにする程度なら、こちらのほうが簡単です。
Templaterはコミュニティプラグインです。変数や関数の結果を入れるだけでなく、JavaScriptを実行し、ファイル名の変更や移動までできます。公式ドキュメントにも、ファイルのrenameとmoveが用意されています。
| 比較項目 | 標準Templates | Templater |
|---|---|---|
| 定型の見出しを入れる | できる | できる |
| 日付・時刻を入れる | できる | できる |
| 入力時に質問する | 限定的 | できる |
| 候補から種類を選ぶ | できない | できる |
| ファイル名を自動で整える | できない | できる |
| 指定フォルダへ移動する | できない | できる |
| JavaScriptを動かす | できない | できる |
最初からTemplaterを選ぶ必要はありません。毎回同じ見出しが出れば足りる人は、標準Templatesから始めたほうが楽です。入力や保存先までそろえたくなった段階でTemplaterへ進めばいい。
Claudeへ渡す前に、8項目を固定する
私の仕事で重要なのは、文章の見た目より前提です。雑な指示でも仕事が回るのは、相手も自分も前提を知っているからです。AIにも同じ条件を作るなら、少なくとも次の8項目を残します。
- 目的:何のための仕事か
- 前提:相手、状況、使う資料など
- 今日決めたこと:確定した内容
- 次にやること:担当と順番
- 判断の根拠:なぜそう決めたか
- 未確認のこと:分からないまま残っている点
- AIに任せる範囲:整理、比較、下書きなど
- 人が確認すること:数字、期限、送信、法的判断など
特に残したいのは「未確認のこと」です。空欄をAIがもっともらしく埋めると、後から事実と推測の境目が分からなくなります。分からないことは分からないまま残し、送る前に本人が確認する。この線は外せません。
そのまま使える仕事メモ用Templater
下のテンプレートは、作成時に題名を聞き、メモの種類を選ばせ、日付付きのファイル名で「仕事メモ」フォルダへ移します。本文には先ほどの8項目を入れます。顧客名や会社名を入れた実データではなく、一般化した記事用のひな型です。
<%*
const inputTitle = await tp.system.prompt("このメモの題名");
const kind = await tp.system.suggester(
["商談", "社内指示", "書類", "集計", "その他"],
["商談", "社内指示", "書類", "集計", "その他"]
);
const title = (inputTitle || "無題")
.replace(/[\\/:*?"<>|]/g, "-")
.trim();
const date = tp.date.now("YYYY-MM-DD");
await tp.file.move(`仕事メモ/${date}_${title}`);
tR += `---
created: ${tp.date.now("YYYY-MM-DD HH:mm")}
type: ${kind || "その他"}
status: working
---
# ${title}
## 目的
## 前提
## 今日決めたこと
## 次にやること
## 判断の根拠
## 未確認のこと
## AIに任せる範囲
## 人が確認すること
`;
%>
使う前に、Obsidian内へ「Templates」と「仕事メモ」の2フォルダを作ります。上のコードを「Templates/仕事メモ.md」として保存してください。フォルダ名を変える場合は、コード内の「仕事メモ」も同じ名前へ変えます。
コードを手で写したくない人へ
上のひな型と導入手順をZIPにまとめました。メール登録なしで使えます。
展開後の「仕事メモ.md」をTemplatesへ入れ、最初は架空データで動作確認してください。
TemplaterをObsidianへ入れる手順
- Obsidianの設定からコミュニティプラグインを開く
- 制限モードを解除し、Templaterを検索してインストールする
- Templaterを有効にする
- Templaterの設定でTemplate folder locationをTemplatesにする
- コマンドパレットからTemplater: Create new note from templateを実行する
- 仕事メモのテンプレートを選び、題名と種類を入力する
コミュニティプラグインは第三者のコードを実行します。Obsidian公式も、コミュニティプラグインには危険になり得るコードが含まれる可能性を案内しています。Templater側も、任意のJavaScriptやシステムコマンドを実行できるため、理解できないコードを動かさないよう警告しています。
上のひな型は、題名の入力、種類の選択、日付の取得、ファイル移動、本文の生成だけです。Claudeへコードを直してもらった場合も、何を追加したかを読み、いきなり本番の保管庫で試さず、架空データのテスト用フォルダで確認します。
Claudeは2か所で使う
一つ目は、Templaterのコードを作る場面です。「保存先を案件別に分けたい」「種類を一つ増やしたい」とき、Claudeへ現在のコードと変更したい点を渡します。完成コードだけでなく、変更箇所と動作確認の手順も出してもらいます。
二つ目は、作った仕事メモを読む場面です。ブラウザ版のClaudeならMarkdownを添付するか本文を貼ります。Claude Codeを使う場合は、許可した作業フォルダ内のファイルを読み、編集やコマンド実行を支援できます。保管庫全体を無条件で渡すのではなく、今回必要なフォルダへ範囲を絞ります。
たとえば、仕事メモを整理させる指示は長くありません。テンプレート側に前提があるので、次のように頼めます。
このフォルダにある最新の仕事メモを読んでください。
「前提」と「今日決めたこと」を変えずに、次にやることを順番に整理してください。
「未確認のこと」は推測で埋めず、そのまま残してください。
最後に、人が確認する項目だけを短くまとめてください。
ここでClaudeに頼んでいるのは、決定の作り直しではありません。決まった内容を崩さず、次の作業と未確認事項を分けることです。指示が短くても、メモの項目がそろっていれば意図を渡しやすくなります。
Claude CodeとCodexのAstraは、どちらを組み合わせるか
ここは比較の単位をそろえる必要があります。Claude Codeはローカルのファイルやターミナルを扱う製品です。AstraはOpenAIのモデルで、Obsidianと組み合わせる場合は「Claude Code対Astra」ではなく、「Claude Code対CodexでAstraを使う運用」の比較になります。
この記事ではClaude Codeを先に置きます。Anthropic公式が、Claude Codeはコード以外のノート保管庫やMarkdownフォルダでも使えると案内しているからです。CLAUDE.mdへ読み方や更新ルールを残せるため、Obsidianの仕事メモを継続して扱う説明ともつながります。Obsidian向けの公開テンプレートやプラグインも既に複数あります。
Astraは2026年9月に登場したばかりで、いまの話題性は高い。OpenAIは、Astraを複雑な多工程の仕事、コンピューター操作、ソフトウェア開発に向くモデルとして案内しています。CodexでObsidianの保管庫を作業対象にすれば、同じMarkdownを読ませることはできます。
ただし、新規加入そのものを止めているという公式案内は確認できませんでした。公式に確認できるのは、段階的な提供、プランごとの利用量、開始時に配られたリセット特典の期限です。話題になっていることと、加入制限があることは分けます。
| 判断項目 | Claude Code | CodexでAstra |
|---|---|---|
| 何を比べるか | ローカル作業を行う製品 | Codex内で使う高性能モデル |
| Obsidian向けの説明 | 公式にノートフォルダ利用を案内 | Codexの作業フォルダとして扱う |
| 継続ルール | CLAUDE.md | AGENTS.mdなどのプロジェクト指示 |
| 現在の話題性 | 継続的な利用例が多い | 新モデル登場直後で高い |
| この記事での役割 | 主役 | 既にCodexを使う人の選択肢 |
すでにCodexとAstraを使っている人が、この記事のためにClaude Codeへ移る必要はありません。Templaterが作るのは普通のMarkdownです。どちらでも読めます。検索の入口は再現例の多いClaude Codeに置き、Astraは自分が実際に使っている別ルートとして示すのが、現時点では一番ぶれません。
私なら、営業の5場面から使う
この型は、何でも入れる日記にしないほうが使いやすい。私なら、後から判断や引き継ぎが必要になる仕事へ絞ります。
- 商談後:決まったこと、次回確認、相手へ送る前の確認
- 部下への指示:目的、期限、完成条件、伝え直す点
- 上司からの指示:自分が着手すること、先に聞くこと
- 書類作成:元資料、入力箇所、食い違い、未確認
- 営業集計:対象期間、元データ、集計条件、分類の揺れ
たとえば集計なら、「今月分」「反響から案内まで」「担当者は社内ツールの確定値を使う」と前提を残しておく。次回はスクリーンショットやCSVを渡し、「このメモの条件で集計して」と短く頼めます。分類が揺れている項目は未確認へ残します。
書類なら、元資料と入力先を分けて記録します。AIが見つけた内容でも、条例、ハザード、数字、期限など、間違えたときの影響が大きい項目は参照先を確認する。必要なら役所や担当者へ聞く。テンプレートを入れても、判断の責任は移りません。
動画から使うのは、メモを仕事へ変える考え方
今回のきっかけになった動画では、Templaterでタイトル、タグ、見出し、保存先を整え、月次ノートへのリンクやタスク化まで進める例が紹介されていました。単なる定型文ではなく、メモを次の処理へ渡す入口として使う点は参考になります。
ただし、動画内のTaskChute連携は制作者独自のプラグインを含みます。Templaterを入れただけで同じ連携が完成するわけではありません。この記事では、標準機能とTemplaterの範囲で再現できる、仕事メモの作成と整理に絞りました。
最初は一つのテンプレートで十分
Templaterを入れると、日報、議事録、案件管理、タスクまで一気に作りたくなります。ただ、型が増えるほど入力先で迷います。最初は「仕事メモ」一つで、目的、決定、次の行動、未確認が残るかを見たほうがいい。
使ってみて毎回空欄になる項目は削り、逆にClaudeが何度も聞き返す項目を足します。テンプレートは完成品を探すものではなく、自分の仕事で抜ける前提を見つけて直すものです。
次は、いま止まっている工程から選ぶ
Obsidianをどの情報の正本にし、Google DriveやGitHubとどう分けるかは、AIへ渡す現在地をファイルに残す方法で整理しています。まず保存設計を決めたい場合はこちらから確認できます。
Claude、ChatGPT、Codex、録音AIを仕事ごとにどう分けるか迷う場合は、実際に使っている営業AIツールの組み合わせへ進んでください。道具を増やす前に、いま面倒な工程が入力、整理、実行、保存のどこかを決めると選びやすくなります。
音声の文字起こしをObsidianへ残す流れが必要なら、PLAUDの文字起こしを原文とAI要約に分けて自動保存した仕組みもつながります。録音が不要な人までPLAUDを入れる必要はありません。
会話をメモに残すところで止まっているなら
テンプレートがあっても、商談中の会話を書き残せなければ中身が埋まりません。録音と文字起こしを取り入れるなら、まず勤務先のルールと相手への確認を済ませ、使う場面と費用から選びます。

